Fly High!! ~ 彼らのStory ~

バレーボール男子応援ブログ

◼︎そこにあるドラマ 〜感動と、興奮と、ほんの少しの涙〜 その5

実はこの日、この試合が恐ろしく白熱することになったのは、その前の週の東海大日体大の試合結果によるもので。
東海大日体大に当たるまでは全勝で進んできていて、中央にもストレートで勝っていていたので、このまま行けば優勝できる勢いでした。
私も秋季は東海大が優勝だろうな、と漠然と思っていたし。

ところが、日体大がフルセットで東海大を破ったので、中央は最終戦(早稲田戦)に勝てば優勝できるというラインが見えてきたのです。
東海と日体の試合は最初は東海があっさり逃げ切っちゃうのかな?と思ってました。
日体大は何がすごいって、ベースの体力があるからなんだろうけれど、フルセットマッチになっても体力が落ちる気がしないんだよね。

前日の早稲田との試合もやっぱりそうで、フルセットに持ち込んだら、圧倒的に日体が有利な気がする、と感じちゃう感じで。
5セット目に入った時、ああ、やばいな、これ、と思ってて。

もちろん中大を応援してるんだけどね、こうやってたくさん試合を見てくると、みんな勝たせてあげたくなっちゃうんだよ。
勝利のためにひとつひとつ積み上げようと努力している姿も見え隠れしてくるから。
その強い意志をコートの中で見せてくれるから。
(無理なのわかってるけどね)

東海がホームで負けて、みんなが肩を落としていたり、放心している姿を見て、思わずうるっとしちゃった。
そりゃ、勝ちたかったよね、勝てば、優勝が見えたんだもんね、と。

だからか、わからないけど、この日は中央の選手たちも東海と日体の試合を見てて。
もちろんそれ以外の試合に勝てたから、優勝の目が見えてきたのだけれど、棚ぼたのように転がっていきたチャンスを中央がどう生かすのかなと思ったのでした。
それが、最終戦、早稲田との試合で勝てば優勝、負けたら2位という痺れる背景の試合だったのです。
(中央と早稲田の試合が始まる前に、東海の試合は勝って終わってたので)

なのに、1セット目は石川くんのスパイクを終盤で二本も、早稲田の山﨑くん、星城のチームメートだった彼に止められる展開でセットを落としたわけですよ。
どんな気持ちだったのかはもちろん本人しかわからないけど、なんとかしなきゃ、って思っただろうな、と。

そして、私はゾーンに入った「石川祐希」の気迫のプレーを目撃することになったわけです。

自分がなんとかするから、というオーラがすごくて。
そこに周りが呼応して動きが変わっていく、そんな感じだったと思う。
言葉なんかなくてもそれが伝わってくる感じだったけど。
あとで、そういうゼスチャーをしてたという映像を見て、ああ、こういう人なんだ、彼はともう一度、認識しなおして。

それ思って、それを実行できるという強さに脱帽。
これが世界と戦う人が持っている能力なんだろうなということを気付かされれた気分でした。

あとでその凄さを数字で知ることになるんだけど、スパイクの決定率は見てても、半端なかった。
早稲田の山口くんの顔面を直撃したスパイクは、山口くん自身もテレビのインタビューで見えなかったと言ってたほど。
写真を撮ろうと思うと余計にその早さに驚愕するんだけど、テイクバックもスイングも早すぎて、シャッター速度が追いつかないくらい。
トスが上がったかな、と思うともう、ボールが相手コートに落ちてる感じなんだよね。

「別格」という言葉が正しいのか、よく分からないけど。
その才能と実力はどこにいても浮かび上がって見える。
そういう眩い存在がそこにありました。
人が惹きつけられるのはもう仕方のないことなんだろうな、と。

石川くんの気迫のプレーと仲間の頑張りで中央は秋季リーグの優勝を手にしたのでした。

その勝利に涙してたのはキャプテンの井上くん。
流れが悪い時に技の効いたプレーで、得点をうまく重ねた彼。
すごく目立つタイプではないけど(イケメンですがw)、チームの要になっていることをひしひしと感じさせる選手。
スター選手を抱える常勝集団のキャプテンを引き継いだことで、彼にしか分からない苦労があったのかなと思いました。
ただでさえ人を纏めるのは大変なこと。
頑張ったんだろうな、と。
だから、勝ったことでいろんな思いがあふれ出したんだろうね。

いい試合を見ると、もうちょっと、この試合を見続けたいと感じるんだな、とWCで初めて男子バレーに惹かれた頃の気持ちを思い出していました。
大学の試合を見に来たきっかけは確かに石川くんだったけど、彼が出ようが出まいが来年も見に来ようと思っている自分がいて。

昨年、初めて大学の試合を見に来た時とは違う自分の心持ちになっていたのも何かとても自然な流れのような気がしていました。
ああ、ハマってるな、と自覚しながらずぶずぶと深くなっていくのはたまらなく楽しい瞬間のようです。